研究概要 |
(1) H21年度より大型ポットに移植しガラス温室の土壌温度制御下と野外マツ林下において養苗したショウロ,アミタケ,クマシメジを定着させた菌根苗計約100本について,H22年度末まで成長比較を行った結果,土壌温度制御下では旺盛な苗成長が継続したが,マツ林下では特にショウロ接種区での苗生残率が低く,接種菌の違いによる定着能の違いがあることを明らかにした.いずれの実験区でも子実体発生は確認できなかった. (2) ツチグリおよびヌメリイグチについて,効率的な菌根苗生産技術を開発することを目的に胞子を接種源とする実験を行った。その結果,幼マツ実生1本あたり10mlの胞子液(5000個胞子含有)を接種することで,子実体1本あたり約1000本の菌根苗を3-4ヶ月で生産でき,実用的な接種技術となりうることを明らかにした. (3) H21年度にアカマツとの菌根合成に成功したタマゴタケ類について菌根苗の温室順化を行った結果,菌根苗の維持と菌根の旺盛な増殖に成功した.同様に,アカハツ菌根苗についても温室での菌根の旺盛な増殖に成功した.また,H21年度に確立したアンズタケ培養株について菌根合成に成功した(本分類群では世界で2例目). (4) H21年度に明らかにしたマツタケ菌根苗の効率的な作成条件をもとに,窒素添加した土壌条件下で菌根形成の動態を調査した結果,十分な評価には150日程度の養苗期間が必要なことを明らかにした.また,形成された菌根量を,リアルタイムPCR法で定量することにも成功した.
|