研究課題/領域番号 |
19380086
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
徳地 直子 京都大学, フィールド科学教育研究センター, 准教授 (60237071)
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研究分担者 |
大手 信人 東京大学, 農学生命科, 准教授 (10233199)
小山 里奈 京都大学, 情報学研究科, 准教授 (50378832)
菱 拓夫 九州大学, 農学研究科, 助教 (50423009)
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キーワード | 森林生態系 / 窒素飽和 / 窒素循環 / 窒素可給性 / 不動化 |
研究概要 |
温帯森林生態系の多くは窒素制限下にあるが、生態系の生物のもつ窒素保持能を超えて負荷されると、窒素は制限要因ではなくなり、"窒素飽和"に至るとされる。森林生態系の窒素保持はおもに土壌と植生によるため、加齢により植生の窒素吸収量が低下すると窒素飽和が生じやすくなると考えられる。そこで、森林生態系内部の窒素動態を詳細に把握するため、今年度は昨年度に引き続き、安定同位体希釈法を用い、窒素の動態変化をとらえた。季節ごとの実験から、どの季節においても窒素の形態変化において、アンモニア生成・硝酸生成のどちらをもうわまわった明らかな不動化が生じていることが示された。しかし、不動化を規定する要因は、土壌微生物バイオマス、溶存有機体炭素量など、季節ごとに異なっていることが明らかになった。また、土壌溶液中の硝酸態窒素の酸素同位体比の変化から、大気から系内に負荷された窒素の不動化にかかる時間はこれまで考えられていたより長い(10cmで数週間以上)ことが示された。これらのことから、大気窒素の急激な不動化には非生物的な固定などを検討する必要が示唆された。また、総速度は若齢で大きく、窒素動態はダイナミックに動く。しかし、加齢に伴い総速度の低下がみられた。この変化は高齢になるまで続くが、内部の形態変化は質的に変化しており、壮齢以降、総無機化速度に違いはなくとも、硝化速度に変化がみられれ、存在する無機態窒素の形態が変化することが示された。
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