研究分担者 |
堤 大三 京都大学, 防災研究所, 准教授 (40372552)
多田 泰之 独立行政法人森林総合研究所, 水土保全研究領域, 研究員 (40397518)
勝山 正則 総合地球環境学研究所, 大学共同利用機関等の部局等, プロジェクト上級研究員 (40425426)
谷 誠 京都大学, 農学研究科, 教授 (00314245)
水山 高久 京都大学, 農学研究科, 教授 (00229717)
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研究概要 |
山地斜面土層内の土壌水分空間分布を知ることは,崩壊に対する斜面の安全性の評価や,斜面緑化の為の土壌環境評価を行う上で,極めて重要となる。特定の斜面における土壌水分分布の時系列を知るためには,テンシオメータや土壌水分計を設置すれば良いが,利用できるセンサーの数によって空間的な分解能が規定されてしまう上,測器の設置に時間と手間がかかることから,機動性を重視した使用には適さない。一方,最も標準的な秤量法による土壌水分計測では,不撹乱土壌を土壌断面掘削やオーガーを用いて採取せねばならず,効率が悪い。これに代わる手法として,電気探査等による地表面からの非接触計測技術の向上が望まれるが,非接触であるがために土壌水分以外の要因が計測値に大きく影響してしまい,キャリブレーション方法の確立が容易でない。このような背景のもと,本年度の研究では,主に水分計付貫入計(以下,CPMPと呼ぶ)を開発し,精度の検証を行った。その結果,従来の長谷川式土壌貫入計とCPMPを用いて計測された貫入抵抗値Nc(10cmの貫入深を得るのに必要な打撃数)の鉛直分布は,互いに良好な一致を示した。このことから,水分センサーを取り付けたことによる貫入抵抗値への影響は,無視できる程度のものであると結論付けられた。また,CPMPで計測された体積含水率の鉛直分布が,市販のTDRプローブ(CS605)による計測値と非常に良い対応を示すことがわかった。また両測器で計測された体積含水率は,秤量法により得られた含水率と一致した。この様に,CPMPを用いることによって,土壌水分量の鉛直分布を迅速かつ精度良く求めることができることが示された。さらに,含水率と貫入抵抗の両方を同時に計測できるCPMPは,土性の違いや地下水位といった水文現象を解析する上で重要な情報を得ることができるため,従来の貫入計に比べて山地斜面の特性を調査する上でより有効な測器であることがわかった。
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