研究課題/領域番号 |
19380092
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研究機関 | 独立行政法人森林総合研究所 |
研究代表者 |
窪野 高徳 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 領域長 (80353671)
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研究分担者 |
市原 優 独立行政法人森林総合研究所, 東北支所, 主任研究員 (10353583)
升屋 勇人 独立行政法人森林総合研究所, 森林微生物研究領域, 主任研究員 (70391183)
山路 恵子 筑波大学, 生命環境科学研究科, 講師 (00420076)
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キーワード | スギ / 枝枯菌核病 / 侵入門戸 / 虫えい / 組織構造 / スギタマバエ成虫 / 抗菌性物質 / プロリン |
研究概要 |
スギ枝枯菌核病菌(完全世代:Asteromassaria sp.、不完全世代:Scolicosporium sp.)はスギタマバエの虫えい痕を侵入門戸とする病原菌である。本菌は細胞壊死を伴わない初期の虫えいに感染することが判明し、感染時期は初夏の6月下旬~7月下旬と推定された。この時期は子のう胞子世代のAsteromassaria sp.及び分生子世代のScolicosporium spの形成時期と一致した。スギタマバエがベクターとなって本菌を伝播するのではないかと予想したが、成虫からは本菌が分離されなかったことから、伝染に関与する胞子体は雨滴等で飛散し、偶発的に虫えいに侵入・定着したものと推察された。 虫えい内に生息する先住微生物相を検討した結果、Pestalotia sp.Rhinocladiella sp.及びCladosporium sp.が先住菌類として明らかになった。これら3種菌と本菌との対峙培養を行ったところ、すべての菌に対して、拮抗反応が見られなかったことから、本菌が虫えい内に侵入・定着する際に、本菌の侵入を阻止する菌類は生息していないと推察された。 本菌の伝播に関与する胞子体の形成時期、本菌の感染部位、本菌糸束による病斑形成時期および枝枯発生時期等が判明し、本菌の伝染環を明らかにした。その結果、伝染に関与する胞子体が形成・飛散する時期である6月以前に、前年に感染枯死した枝葉を中心に枝打を行い、伝染源を排除することによって本病の発生を防ぐことが、最も効果的な防除方法であることを提示した。
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