研究分担者 |
渡邉 敦史 森林総合研究所林木育種センター, 育種部育種第二課育種研究室, 研究室長 (10360471)
陶山 佳久 東北大学, 大学院・農学研究科, 准教授 (60282315)
原 正利 千葉県立中央博物館, 環境科学研究科, 主席研究員 (20250144)
戸丸 信弘 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 教授 (50241774)
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研究概要 |
森林のニーズの多様化に伴って広葉樹造林の機会は拡大しつつあるが,そこで用いられる広葉樹種苗の配布区域については,具体的枠組みがないまま,少数個体に由来する種苗が広域で流通し,植栽に用いられている可能性が指摘されており,地域固有の遺伝変異を保全する見地から遺伝子撹乱が危惧されている。このため,系統地理学的研究により分布域全体に渡っての遺伝的分化について明らかにすることは,種苗配布についてのガイドラインを検討する上でも重要である。そこで,本研究では,冷温帯構成する主要樹種でもあるブナをモデル樹種と位置づけて,葉緑体の1塩基多型(SNP)を遺伝マーカーに用い,ブナの分布域全体に渡って,精細な系統地理学的構造を明らかにすることを目的とする。 平成19年度は,東北地方日本海側や東海地方,近畿以西など,これまで試料の収集が不十分であった地域からの分析試料の収集,SNP分析を進めた。分析の結果,新規ハプロタイプが検出され,ハプロタイプ間の類縁関係や新規ハプロタイプの地理的分布から新規ハプロタイプは遺存的に遺ったタイプではないかと推察された。 アジアにおけるブナ属の系統遺伝学的類縁関係を明らかにする目的で,イヌブナと中国に分布するブナ属近縁種2種(Fagus lucidaとF.engreliana)の試料を採取した。
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