研究概要 |
本研究は、製材工場等の木材1次加工現場および木質系廃材処理工場において、木質材料の強度・含有水分状況・節および樹脂フィルムの有無・化学物質の種類の非破壊診断を、近赤外分光方式に基づく2つの測定系(時間飛行タイプならびに広域非接触型フーリエ変換タイプ)をハイブリッド化したシステムによってオンラインレベルで実施するものである。本年度は,パルス発振小型レーザおよび超高速光検出装置によって、透過光測定に適した測定系を試作することを主題とした。 時間幅5nsのパルスレーザ光を木材に照射し、その透過パルスの変化から試料内部の情報を検出するシステムを考案した。供試材料はカラマツの気乾材で、試料厚さ6mmから20mmまでのものを準備し、これらに波長740nm-860nmのパルスレーザ光を照射した。照射波長が長くなるほど、レーザ光の透過能は向上し、最終的に試料厚さ15mm程度までは透過光を検出することができた。また、パルス光の減光度、時間遅れ、およびパルス波形形状が試料厚さによって特徴的に変化することが確認され、これらを統計的に処理することによって、本システムが合板用単板や集成材用ラミナの内部品質評価手法として利用できることを見出した。 現在,品質管理・検査の対象となる性質は,目視あるいは専用の機器などで分析評価されている。近赤外分光法は,木材の物理的・化学的性質などの多形質を短時間で推定できることから,本法をオンラインシステムとして現場に導入することにより、作業効率が大幅に向上すると期待される。
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