研究概要 |
本研究は、製材工場等の木材1次加工現場において、木質材料の強度・含有水分状況・節の有無に関する非破壊診断を、近赤外分光方式に基づく2つの測定系(時間飛行タイプならびに広域非接触型フーリエ変換タイプ)をハイブリッド化したシステムによってオンラインレベルで実施するものである。本年度は、コンベア方式オンラインシステムの構築ならびに稼動実験による本装置の性能評価を中心とした基礎実験を行った。 選果用のベルトコンベアを木材搬送用に改造し、30m/分で走行する板材に光を照射してその反射光スペクトルから板材のいろいろな情報を推定するシステムの設計を行った。無欠点の新材および節を包含する欠点材に関する近赤外スペクトルを多変量解析することにより,含水率,各種強度(ヤング率,破壊強度)および節の多寡を定量評価可能な検量モデルを作製した。この際,スペクトルの数学的処理条件,測定波長領域の選択等を検討し,データ解析処理の最適条件を明らかにした。 木材自給率を向上させるためには、品質・性能の確かな製品を安定的に供給できる競争力の高い製材加工体制の整備が不可欠であり、これを実現する簡易で低価格な計測装置等の開発が渇望されている。本研究によって、近赤外スペクトルにより欠点の有無も含めて複数の評価項目を一度に評価でき、生産性の高い木材の光学式品質評価方法を提供するための基盤を確立することができた。今後は、民間企業等と連携を組んで具体的な装置作成を試みる予定である。
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