研究課題
本研究は、白色腐朽菌が産生する水と疎水性分子の界面を活性化する鍵代謝物を同定して、その疎水性代謝物可溶化機構やリグニン分解の促進機能、生合成系を明らかにすることによって、白色腐朽菌によるリグニン分解能強化のための新しい分子基盤を構築することを目的とする。平成19年に、セルロースを残してリグニンを高選択的に分解する木材腐朽性担子菌Ceriporiopsis subvermisporaの生産する両親媒性代謝物の構造解析と機能解析を行い、本菌が新規なバイオサーファクタントを産生することを明らかにした。このバイオサーファクタントの分析を詳細に行うため、両親媒性代謝物バイオサーファクタントの高生産培地の検討を行い、著量のバイオサーファクタントが産生される新規な培地を見出した。この培地を用いてバイオサーファクタントを生産し、LCMSやNMRを用いて構造解析を行った。代謝物の精製は、固相抽出や液体クロマトグラフィーを用いた。この結果、Ceriporiopsis subvermisporaが産生する新規バイオサーファクタントが単量体、2量体、3量体構造をとることを明らかにした。また、本代謝物の疎水性物質の可溶化能を分析し、合成の界面活性剤と匹敵する高い界面活性作用をもつことを明らかにした。また、本菌が産生するバイオサーファクタントとして、この単量体、2量体、3量体構造をとる代謝物とは別にセレブロシドを見出し、その構造をLCMSやNMRを用いて解析した。さらに、Ceriporiopsis subvermisporaが産生する脂質関連代謝物が、脂質過酸化ラジカル反応よるβ-O-4型リグニン二量体モデル化合物の分解に及ぼす影響を解析した。
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