研究分担者 |
角田 邦夫 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (30127104)
吉村 剛 京都大学, 生存圏研究所, 准教授 (40230809)
畑 俊充 京都大学, 生存圏研究所, 講師 (10243099)
高妻 洋成 独立行政法人国立文化財機構奈良文化財研究所, 埋蔵文化センター, 保存修復科学研究員 (80234699)
山田 昌郎 独立行政人港湾空港技術研究所, 地盤・構造部, 構造強度主任研究員 (30371769)
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研究概要 |
本研究の目的は,特殊な厳環境下(海洋,土中(長期間の土壌埋設),宇宙,極地)での木材の劣化現象や耐久性の解明を通じて新たな木材用途開発のシーズを探求することであり、本年度は以下の研究成果を得た。 (a)海洋環境横須賀において開始した木材,合板,プラスチック,ゴム,木材プラスチック成形複合材(WPC)に関する海中暴露試験の2年経過後の調査を実施した。木質系材料の多くが加害されたが,プラスチック,ゴム,WPCには加害がなかったことを確認した。 (b)土中環境 木製遺物が長期にわたって保存されてきた低湿地の埋蔵環境について検討を加え、地下水の酸化還元電位と溶存イオン濃度が季節変動すること、近接した場所においても酸化還元環境に明瞭な差があり、木材の保存状態も異なることなどを明らかにした。 (c)宇宙環境 宇宙用木質材料を開発するために、調製した木質炭素/シリコン材料の原子状酸素照射に対する抵抗性を調べ、また、リグニン分離方法の1つとしてL-乳酸を分離薬剤として利用し,提案した分離方法によって薬剤の残存や著しい化学構造の変質のない木材から得られたリグニンを炭素化することによって,原子状酸素に抵抗性のある材料開発が可能となった。木材より分離されたリグニンを炭素化し,ケイ素と混合したあと焼結,ケイ素/炭素材料を作成し宇宙環境下におけるシミュレーション実験によって耐酸化特性を評価・確認した。 (d)極地環境 550℃下で30分間燃焼させた場合、無処理材、準不燃材、不燃材の重量減少率は、それぞれ45.0,24.8,21.5%であった。燃焼開始後10分までは、無処理材、準不燃材、不燃材共に同様な温度上昇を示したが、10分経過以降、準不燃材、不燃材の温度上昇は緩慢になり、30分後の表面温度は無処理材よりも約100℃低く、準不燃材、不燃材の高い断熱効果が確認された。
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