研究概要 |
ゼロエミッション型養殖の為の飼料開発には,魚粉以外でP含量の低い原料を飼料に配合することが有効であると考えられる。また,水産加工残滓の利用も有効である。そこで,以下の実験を行った。 1.ゼロエミッション飼料の主な飼料原料となる大豆油粕は,現在では遺伝子組換え作物由来のものが多くなっている。そこで,その安全性および利用性を主要な養殖魚であるティラピアについて,遺伝子組換え大豆を配合した飼料を給餌し,飼料から,筋肉,血液,肝臓等への組換え遺伝子断片の移行をPCRを用いて,分析した。その結果,極僅かなプロモーター断片が筋肉および血液に確認される個体も存在するが,数日間でその存在は認めらなかった。 2.低魚粉飼料におけるタウリンの添加効果について,ブリおよびマダイで検討する。その結果,魚粉を30%まで配合した飼料では,魚が活発に摂餌をしていれば,タウリンの添加しなくても,魚粉飼料と同等の成長が得られるが,魚粉を20%まで減少させるとタウリンの添加でブリは魚粉飼料と同等の成長を示した。一方,マダイではさらに消化酵素の添加が必要であることがわかった。 3.水産加工残滓と大豆油粕から調製した残滓ミール,さらにそれを乳酸発酵させた発酵ミールを用い,マダイにおける有効性を検討した。その結果,水産加工残滓の種類と発酵方法により,魚粉と堂々の結果が得られることがわかった。 以上より,魚粉以外のものを使うことにより,ゼロエミッション型養殖の飼料を開発できるという基礎的な知見が得られた。
|