研究概要 |
1.従来型の農業法人経営の今日的到達点の確認作業(財)農協協会が実施した「大規模農家と農業法人の経営状況とJaグループに対する意識調査」の設計,分析を担当し,2005年農林業センサスとの若干の比較検討を行った。また,11月末現在で,JA出資農業生産法人に関する簡単な状況調査を実施した。これらによると,農業法人は1992年の新農政による法人化重視路線のo下で急増していること,とはいえ,出資の面からは家族経営の枠内にあるが,労働力の面では家族経営の枠を大きく超えつつあること,JA出資農業生産法人は農業法人の中では大規模階層に属していることなどの新しい実態が浮き彫りにされつつある。 2.集落営農とJA出資農業生産法人の現地実態調査集落営農については安藤が担当し,岩手県,宮城県,富山県,滋賀県,広島県などにおいて現地実態調査を実施した。それらの成果の一端は2008年度の日本農業経済学会シンポジウムにおける報告に盛り込まれている。JA出資法人については谷口が李侖美(目本農業研究所)の協力を得ながら実施し,宮崎県,茨城県,埼玉県,滋賀県(新潟県で現地調査した。それらの成果の一端はJA出資法人担当者全国交流集会や各県における関係者との研究会などでの報告に活かされている。 3.外国における現地調査 2007年11月に安藤がイギリス,ニューカッスルにおいて2008年度に行う調査の予備調査を実施した。また,谷口は李とともに,韓国において初めて設立された農協が直営する農場を現地調査した(全羅南道,順天市/順天農協)。形式こそ異なっているが,JA出資農業生産法人と酷似する実験が韓国でも行われており,我々の研究の国際的な広がりを実感した。それらの調査結果は順次整理され,公表される予定となっている。 4,文献の検討 2007年度は法人経営の新たな動きを的確に捉え,今後の研究課題を明確にすることを重点としたため,文献の収集は行ったものの,文献検討は不十分であった。この課題は2008年度の早い時期に行うことにしている。
|