研究分担者 |
山口 三十四 尾道大学, 経済情報学部, 教授 (90030684)
永木 正和 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (90003144)
長谷部 正 東北大学, 農学研究科, 教授 (10125635)
草苅 仁 神戸大学, 農学研究科, 准教授 (40312863)
鈴木 宣弘 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80304765)
|
研究概要 |
平成20年度は,現代のフードシステムにかかわる応用計量経済分析として,主に以下のような研究成果を挙げた. 2005年に公布された米国エネルギー政策法において,バイオエタノールの使用が義務づけられた.その後のバイオエタノール・ブームにより原料のトウモロコシの価格が高騰し,さらにトウモロコシへ作付け転換された大豆の価格もまた高騰している.こうした背景を踏まえ,需要システムモデルにより,トウモロコシと大豆それぞれについて,2005年エネルギー政策法公布前後の国際需要パターンの変化を分析した.具体的には,それぞれの穀物について,主要産地であるアルゼンチン,ブラジル,および米国産の間の代替・補完関係の変化に注目した.差分形式のAlmost Ideal Demand System(AIDS)を用いた計量分析の結果,トウモロコシについては,アルゼンチン産が奢侈財としての性格を強め,米国産が奢侈財から必需財へ変化していることが明らかになった.一方,大豆については,ブラジル産が必需財としての性格を強め,米国産が奢侈財としての性格を若干強めていることが明らかになった. また,平成19年度に独自に開発した,任意ランクとなりうるAIDS型の需要システムを日本の食料需要データに適用した.統計的検定の結果,データに対する相対的説明力という点で,従来より知られているAIDSなどのランク2のモデルやQuadratic AIDSなどのランク3のモデルでは十分ではなく,ランク4のモデルが必要かつ十分であることが示された.
|