研究分担者 |
長谷部 正 東北大学, 農学研究科, 教授 (10125635)
草苅 仁 神戸大学, 農学研究科, 教授 (40312863)
伊藤 房雄 東北大学, 農学研究科, 教授 (30221774)
茂野 隆一 筑波大学, 生命環境科学研究科, 教授 (60292512)
趙 来勲 神戸大学, 経済経営研究所, 教授 (70261394)
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研究概要 |
平成22年度の代表的な研究成果は以下のとおりである. 日本の社会が直面する重要課題である少子高齢化に対しては,多方面からさまざまな対策が講じられている.しかしながら,少子高齢化への効果が現れるのは早くて数十年後といわれる.すなわち,日本の家計が少子高齢化の影響を中長期的に受けていくことは必至である.したがって,消費者の欲求である需要に対する影響を詳しく分析することには,将来の需要予測の観点からも重要な意義があると考えられる. 需要は,種々の人口統計学的要因の他に,所得やさまざまな財・サービスの価格など,多くの要因の複合的な影響によって変動する.したがって,少子高齢化の影響を適切に抽出するためには,単純に個々の要因と需要との相関を調べるのみでは不十分で,経済理論に基づく統計モデルを用いてデータを分析する必要がある.すなわち,計量経済分析の俎上に載せ,各要因が需要に与える影響を検証すべきである.しかし,このような視点に立った研究は世界的にまだない. 以上のような背景を踏まえ,本研究では,少子高齢化が日本の食料需要に与える影響を定量的に明らかにした.具体的には,家計において子どもが1人減少したとき,また高齢者が1人増加したときに,各食料費目の需要が何%変化するかを,それぞれ少子化,高齢化の影響として推定した. 分析モデルには,代表者が独自に開発したquadratic almost ideal demand system (QUAIDS)の線形近似モデル(linear approximate QUAIDS, LA/QUAIDS)を用いた.LA/QUAIDSは,QUAIDSの柔軟なエンゲル曲線を有しつつ,かつシフト変数を取り入れても単位のスケーリングに関して閉じており,almost ideal demand system (AIDs)やQUAIDSといった従来のモデルの欠点を克服している.
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