研究課題/領域番号 |
19380133
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
佐藤 政良 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 教授 (70021722)
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研究分担者 |
佐久間 泰一 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 准教授 (10133589)
石井 敦 三重大学, 生物資源研究科, 准教授 (90222926)
塩沢 昌 東京大学, 農学生命科学研究科, 教授 (80134154)
吉田 貢士 茨城大学, 農学部, 准教授 (20420226)
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キーワード | 水資源 / 国際協力 / 農業工学 / 農業経済学 / 参加型水管理 |
研究概要 |
本年度には、国内の土地改良区における水管理体制の検討の他、海外現地調査として、韓国中央部亭塔ダム灌漑地域とスリランカの乾燥地帯の検討を行った。また、タイ国においては北タイチェンライ市におけるムアンファイであるChaisombat地区における研究を実施した。 豊川用水地区においては、基幹施設から末端施設まで全体の水管理システムを整理することによって、国と土地改良区(全体と末端改良区)の形式的な管理区分と実際上の管理体制の食い違いを明確にし、それが、「水管理」を細かく4つの要素に分解することで、空間的管理区分と機能的管理区分として二つの視点から矛盾なく説明できることを明らかにした。この分析は、水管理を分析するに当たって一般的共通的な視点として採用できる。 Chaisombat地区では、ムアンファイの特性として、受益者、組合員の平等性を前提とした管理がなされるという視点で検討したが、特に、本地区が水源河川の最下流に位置するという特徴を持つことから、上流部における取水量増加によって絶対的な水不足を経験するに至ったこと、その際、一般のムアンファイで行われている取水量の増強では対応できないことから、水配分の平等化によってその一体性を保つようにしていること、その調整過程を分析できたことが大きな成果である。韓国亭塔地区では、韓国における西暦2000年から開始された全面的公的管理によって、農民の水管理への参加が危機的な状況になったことを解明した。スリランカのKimburuwanaoya地区では、参加型水管理の実現のため、国と農民代表の連絡会議が重要な役割を果たし、豊川用水地区と同様、水管理目標の決定段階において、事前了承のプロセス(プレカンナミーティング)が参加型水管理の有効な実現にとって重要な意味をもっていることを明らかにした。 これらによって、参加型水管理の実現にとって有効な共通的原理、手法の組み合わせがほぼ解明できたと考えられる。
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