研究課題/領域番号 |
19380142
|
研究機関 | 新潟大学 |
研究代表者 |
中野 和弘 新潟大学, 自然科学系, 教授 (70188994)
|
研究分担者 |
佐々木 豊 東京農業大学, 地域環境科学部, 講師 (60313508)
長谷川 英夫 新潟大学, 自然科学系, 准教授 (80292514)
大橋 慎太郎 新潟大学, 自然科学系, 助教 (70452076)
|
キーワード | 自動灌水 / 生育ステージ / ハウス内環境条件 / 土壌水分 / ファジィ理制御 / 病気診断 |
研究概要 |
ハウスメロン篤農家は、高品質・多収量を目指して、栽培時期をずらして栽培する。しかし、これには生育ステージを異なる作期ごとに管理する必要があるため、軽労化を考慮した集中管理システムが切望される。本年度は、篤農家から抽出したハウス内灌水ノウハウをファジィ制御によって再現し、土壌水分値を適切に制御し、複数のハウスおよび異なる生育ステージでのメロンを一括管理する知的灌水管理システムを検討した。 システムは、電磁弁や制御盤等のハードウェア部と灌水管理を適切に判断するソフトウェア部からなる。篤農家の灌水技術を再現するためのファジィ制御区と、土壌水分値のみを灌水判断基準とするON-OFF制御区を設置した。これらの制御区と比較するために、篤農家の手動灌水による「慣行区」を設けた。ファジィ制御区では各種センサからの出力値によるファジィ推論を行い、その日の気象変動を考慮した灌水制御を行った。また、栽培時期を1週間~10日間ずらしたI作とII作を設置し、本システムの実効性を検証した。 ファジィ制御区の土壌水分は、定められた制御目標範囲内で精度良く推移した。しかしON-OFF制御区では、制御目標範囲の上限値を超えて灌水するオーバーシュート現象が見られた。積算灌水量は、両制御区とも慣行区より14%~63%の節水率となり、節水効果が認められた。メロン果実の糖度は、I作のファジィ制御区では慣行区と同程度の15%であった。しかし、他の制御区では実験期間が特に冷涼な気候と重なったために、例年より若干低い糖度となった。果実外観等級に関しては、I作のファジィ制御区、II作の両制御区での秀品率は約70%となり、慣行区の49%を大きく上回ったことから、本システムの実効性が確認された。 なお、異なる生育ステージでの栽培時に出現する病気等の画像処理法も検討し、高精度の判別方法を提案したが、さらに再現性の検討を行う必要がある。
|