研究課題
水稲の環境保全型栽培を指向する際に、雑草の繁茂とともに、暖地水田ではスクミリンゴガイによる甚大な食害と生物多様性の低下が問題となっている。本研究は、水田の生産生態系のもとで、雑草防除、スクミリンゴガイの食害回避、さらにこれらに関連する農作業労力の軽減化を図るために、新たな知能ロボットを提案し、その開発研究を行うものである。第2年度の研究は、九州大学農学部附属農場水田において、スクミリンゴガイの動態を調査するとともに、水稲(ヒノヒカリ)、雑草優占種であるタマガヤツリ、その他の雑草間の競争をともなう生長を測定し、ロジスティック方程式とロトカ・ヴォルテラ捕食モデルを用いて各々の生体量、現存量の推定を行った。さらに、水田における水稲、雑草の量とスクミリンゴガイの生息密度との関係の推移を求め、水温の影響を考慮したスクミリンゴガイの水稲に対する捕食率の推測を可能にした。また、水田の耕転、代掻き、田植え、灌概の各作業に応じたスクミリンゴガイの個体数変動モデルを構築し、知能ロボットによって管理作業を行う農作業システムへの適用を検討した。一方、水田におけるスクミリンゴガイの動態を画像処理によって測定する方法を検討した。MATLAB/Simulinkを使用した環境で、移植後の諸条件下における静止画を供して、スクミリンゴガイを交尾中の個体分離も可能な個体数計測アルゴリズムを開発し、動画像を供して、スクミリンゴガイの移動速度を容易に得るアルゴリズムを考案した。これらに基づき、スクミリンゴガイの生息密度を考慮した水稲と雑草に対する単位面積当たり出会い率を推定することが可能になった。さらに、水稲の生産生態系における農作業体系を検討し、6軸垂直多関節形ロボットを用いて、水田実験槽での作溝作業、スクミリンゴガイの掬い取りによる除去作業を試みた結果、室内ロボットシステムは良好な作業性を示した。
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Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University 54
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