研究課題
持続的な水稲の環境保全型栽培を行うに際して、除草剤不使用の場合に雑草の繁茂とともに、暖地水田ではスクミリンゴガイによる甚大な食害と生物多様性の低下が問題となっている。本研究は、水田の生産生態系のもとで、雑草防除、スクミリンゴガイの食害回避、さらにこれらに関連する農作業労力の軽減化を図るために、新たな知能ロボットを提案し、その開発研究を行うものである。最終年度として第3年度の研究は、水田生産生態系のイネ-雑草競争モデル、スクミリンゴガイ-被食者モデルを改良し、画像処理によるスクミリンゴガイ2個体同時測定による活性度の評価方法を明らかにした。実験実証システムの開発・改良に関しては、農業生態系ロボットとビデオカメラ搭載フィールドサーバの協調システムの開発を試みた。また、6軸垂直多関節形ロボットを用いた水田実験槽での作溝やスクミリンゴガイの掬い取りによる除去等の作業を想定して、ロボットハンド部の最適軌道プランニングの解析を行った。さらに、農業生態系情報システムとして、フィールドサーバを基盤とする水田環境情報管理システム、画像遠隔制御システム、スクミリンゴガイ動態モニタリング等の情報を統合する管理サイトを構築した。また、農業生態系ロボット制御管理システムと水管理システムの統合プログラムをほぼ作成した。海外事情として、韓国におけるスクミリンゴガイの水田除草利用技術の実態と今後、懸念される外来動物による生態系への影響を考察した。3年間の研究によって、農業生態系ロボットの概念を提案して、その有用性と基礎的実験システムの開発による実証を行った。さらに、問題点と今後の研究の展開をまとめた。
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Journal of the Faculty of Agriculture, Kyushu University 55
ページ: 101-105