家畜生産において、幼動物の健康管理は最重要の課題である。とくに離乳の前後から種々の感染症に陥りやすいためである。このため、ほ乳期および離乳期の飼料に抗菌物質を添加することが常態となっている。しかし、安全・安心な食料を求める消費者心理から、社会的に家畜に抗菌物質を安易に投与することが許されなくなってきたために無薬あるいは減投薬畜産の確立が急がれている。そのためには幼動物の感染抵抗性の増強をはかるため粘膜免疫系の発達を促す方法論を確立する必要がある。本研究は、子ブタの免疫系の発達を、特に糞便中の分泌型IgA濃度の推移から経日的に把握し、粘膜免疫の発達を促すために最も効果的な介入時期と手段を明らかにしようとするものである。本年度は離乳日齢の影響を精査するため、21日離乳と35日離乳の個体群に分け、出生直後より腸管内IgA濃度、血液中の単核球、腸間膜リンパ節細胞、脾細胞について出生後の成育に伴う推移を35日齢になるまで追跡した。体重は、35日離乳群で高くなり、腸管内のIgAも大腸では高値を示した。また、PBMC中のCD3+細胞(ナイーブT細胞)が多く、MLN由来の細胞ではSWC3+細胞が多かった。この結果を反映して、MLN細胞を乳酸菌で刺激した場合にも35日離乳群でIL-12産生が高値を示した。21日離乳群では、離乳後10日経過しても乳酸菌の刺激に応答の悪いことが推測された。乳酸菌の刺激に応答するには免疫系のある程度の成熟が哺乳中に達成される必要のあることが示唆された。
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