研究課題/領域番号 |
19380155
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
内藤 邦彦 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20188858)
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研究分担者 |
青木 不学 東京大学, 大学院・新領域創生科学研究科, 准教授 (20175160)
千田 和広 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (00192188)
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キーワード | 哺乳類卵 / プロテオーム制御因子 / 蛋白質キナーゼ / 細胞分裂制御機構 / APC / Aurora A / 成長途上卵 |
研究概要 |
本研究では、プロテオーム制御因子と蛋白質キナーゼの動態および機能を、ブタ成長途上卵から成長後の減数分裂過程を含めて解析し、発生能力すなわち細胞分裂能を制御する機構を詳しく追及することを目的とする。本年度は、まず発生能力を持たない成長途上卵の採取法を確立した。すなわち、卵胞直径および卵直径による2段階分類法を確立し、細胞分裂能力の異なる卵をかなり厳密に分類することが可能となった。これらの卵のプロテオームをSDS電気泳動により調べたが、細胞分裂能の違いを直接示唆する相違を見出すことはできなかった。またプロテオーム制御因子のAurora A、cdc20およびcdh1のmRNAやantisense RNAを成長卵に注入したところ、減数分裂能には有意な変化が見られたものの、SDS電気泳動によるプロテオーム解析には変化が見られないことが明らかとなった。細胞分裂制御因子は卵全体のタンパク質量と比較し、極めて微量であるためと考えられ、この方法でプロテオーム全体を網羅的に調べていくには限界があることが判明した。そこで、成長途上卵の細胞分裂能の違いから制御因子の機能を調べる方向に切り換え、これらの卵でプロテオーム制御因子の存在量を調べた結果、細胞分裂能の無い卵ではcdc20が多くcdh1が少ないという成長卵とは全く逆のパターンが明らかとなり、この相違が減数分裂能と関係している可能性が示唆された。さらにこれらの卵にCyclin Bを発現させても減数分裂能は改善されないことが明らかとなっている。 以上、本研究により細胞分裂能とプロテオーム制御因子およびタンパク質キナーゼとの関連の一部が明らかになりつつある。
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