研究概要 |
平成19年度には、ニワトリES細胞のストックの拡大と評価方法の確立、遺伝子改変ベクターの構築を行い以下の成果を得た。 1.新規ES細胞は40種樹立した。 2.40種のES細胞は、多能性マーカーとしてニワトリNanog相同分子(chNanog),Sox2 mRNAの発現、生殖系列マーカーとしてはCVHとchiwi mRNAの発現を確認した。 3.ES細胞を免疫染色により簡便に評価するために、chNanog,CVHおよびchiwiに対するポリクローナルおよびモノクローナル抗体を作製した。 4.作出した抗体を用いて、ES細胞を評価したところ樹立したES細胞はすべてchNanog陽性であり、その中にCVH及びchiwiの二重陽性の細胞が存在することがわかった。 5.2-4までの評価により、優秀なES細胞を4種選抜し、レシピエント胚への移植実験によりES細胞のキメラ形成能を評価した。その結果、選抜・評価したES細胞は極めて高頻度にキメラ形成能を有していることがわかった。 6.遺伝子改変ベクターの構築では、一種(1)については既に同じコンセプトのペクターが存在することが判明し、理化学研究所・丹羽仁博士より分与を受けた。もう一種のベクター(2)については計画通りベクターの構築を完了した。 7.(2)のベクターに関しては、平成20年度以降の実験で相同遺伝子組換えに利用していくことを考慮し、高頻度に組換え細胞を得るために、インサーション型のベクターも同時に構築した。 8.作出したベクターはDT-40細胞株を用いた機能試験を行い、いずれも目的どおり機能することを確認した。 以上のように、平成19年度に計画した研究はすべて年度内に完了した。来年度はこれらの成果をもとに実際に遺伝子改変ニワトリの作出研究を進める。
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