本課題は、骨格筋内や骨髄内に存在する間葉系幹細胞の分化が、成長ホルモン(GH)によりどのような機構で制御されているかを明らかにすることを目指したものである。本年度は以下の研究成果を得た。 (1)ヒト成長ホルモン遺伝子導入ラット(hGH-Tg)の骨格筋や骨に存在する間葉系幹細胞の分化能について、正常ラットとの比較を行った。その結果、骨格筋に存在する間葉系幹細胞(筋衛星細胞)の筋分化能や骨髄に存在する間葉系幹細胞の骨分化能が、hGH-Tgでは正常ラットに比較して著しく低下していることが判明した。また、これらの分化能の低下には脂肪分化能の亢進力が伴っていることが明らかとなった。 (2)筋衛星細胞のnicheを形成する因子を探索したところ、hGH-Tg骨格筋では正常ラット骨格筋に比較してSPARCの発現が低下していることが判明した。
|