光周性は動植物に普遍的に観察される現象であるが、そのメカニズムは未だいかなる生物種においても解明されていない。また光周性は繁殖や開花などの時期を決定していることから、動植物の両方において生産性の制御に直結しており、そのメカニズムの解明は重要である。 近年ニワトリのゲノム配列が報告され、鳥類においてもゲノムワイドな網羅的解析が可能になった。そこで本研究では光周性を制御する遺伝子ネットワークの全容をシステム生物学的なアプローチにより解明することを目的とした。 まず短日条件下で飼育したウズラを長日条件に移した際に波状に誘導を受ける13個の遺伝子群を同定し、機能解析を行った結果、光周性を制御する遺伝子カスケードを解明することに成功した(投稿中)。 また、短日条件、長日条件にそれぞれ2週間暴露したウズラの視床下部において発現量の異なる遺伝子を183個同定した。まず、この中から様々なホルモンやホルモン受容体をコードする遺伝子群について発現部位を同定した。また、従来の研究において光周性の制御には脳の形態変化(可塑性)が重要であることを明らかにしていたが、183個の遺伝子のうち脳の可塑性に関与する遺伝子についても脳内における発現部位を同定した(投稿中)。
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