研究課題
本研究はBSEやCJDなどのプリオン病の原因物質であるプリオンタンパク質の病態における凝集体(PrP^<sc>)への変化を原子間力顕微鏡ならびに電子スピン共鳴法を用いて明らかにすることを目的とした。このプリオン凝集体への変化を起こすには細胞内低pH器官であるエンドソームで起きることから、pHの低下が必須であると考えられている。本研究ではpH7.0の生理条件からpa4.0に変化させたときの構造変化を明らかにすることを試みた。原子間力顕微鏡で家族性CJDでよく見られる変異体プリオンD177NはpH4.0、変性下で72時間振盪することで変異を持っていない野生型よりも効率よく線維状の凝集体が観察された(長さ約0.5〜1.5μm太さ約20〜50nm)。また、β構造のこの低pH処理で増加することはThioflavin Tを用いた蛍光分光測定により明らかとなった。以上の結果はDeMarcoらのグループによって既に電子顕微鏡やシミュレーションで予想されているプリオン病原体構造に極めて近い構造であることを示している。また、さらにsite-directed spin labeling(SDSL)法を用い、3つのpH感受性領域をESRによる解析で見出した。それは(1)αヘリックス1(H1)のN末端領域、(2)同じくH1のC末端領域、(3)βシート2(S2)であった。更に、D177とR163が形成する塩橋とH176とH186の2つのヒスチジン残基について、のpH感受性に対する影響をこれらの組換えタンパク質を作成し解析したところ、D177が形成する塩橋やH176のプロトン化がS2のpH依存性構造変化に影響を与えることが見いだされたこのことから、D177Nといったアミノ酸の突然変異で発症する遺伝性CJDやFFIは、S2の構造変化が引き金となりPrPscが形成される可能性力宝あると考えられる。
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