研究課題/領域番号 |
19380175
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
辻本 元 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (60163804)
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研究分担者 |
大野 耕一 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 准教授 (90294660)
藤野 泰人 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (70401180)
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キーワード | 犬 / 化学療法 / 骨髄移植 / 造血幹細胞 / 治療 / 凍結保存 / リンパ系腫瘍 / リンパ腫 |
研究概要 |
本課題においては、犬のリンパ腫に対する化学療法による治療成績を格段に向上させることを目的とし、自家骨髄移植システムの導入をめざして研究を進めた。 自家骨髄移植を実施するにあたっては、リンパ腫の寛解時にその症例自身の骨髄を採取して凍結保存する必要がある。本研究では、2種類の凍害保護液(ジメチルスルフォオキシドおよびハイドロキシエチルスターチ)を用い、それぞれ2種類の方法(凍結用コンテナおよびプログラムフリーザー)で凍結することによって凍結法を検討した。その結果、ハイドロキシエチルスターチを用いてプログラムフリーザーによって凍結した場合に最も高い細胞生存率とin vitroコロニー形成能が得られた。本研究の成果により、自家骨髄移植を臨床応用する際に生着能の高い造血幹細胞を長期間にわたって凍結保存することが可能となった。 一方、リンパ腫症例から採取した骨髄およびCD34陽性造血幹細胞分画においてはリンパ腫細胞の混入が問題となる。そこで、本研究においてはリアルタイムPCR法を用いて微量な腫瘍細胞(Minimal residual disease,MRD)の定量系を作製した。この方法により、リンパ腫の寛解レベルおよび移植骨髄細胞中におけるMRDのレベルを正確に測定することが可能となると同時に、自家骨髄移植を組み合わせた高用量化学療法の有用性を客観的に評価できるものと期待される。 さらに、今回作製したMRDレベルの測定系により、現在最も標準的に行われているウイスコンシン大学多剤併用化学療法プロトコールUW-25)で使用されている各抗癌剤の腫瘍細胞減少効果を比較することが可能となった。その比較検討の結果、腫瘍細胞減少効果の強さはドキソルビシン、ビンクリスチン、シクロフォスファミドの順であることが明らかとなり、今後のプロトコール改変のための重要な基礎データを得ることができた。
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