研究概要 |
1.消炎ステロイドのCYP代謝への影響のin vitro試験での評価 トリアムシノロンの臨床用量でイヌを1週間処置し、肝マイクロソーム中のエトキシレゾルフィン脱エチル化(CYP1A活性)、トルブタミド水酸化(CYP2C活性)、ブフラロール水酸化(CYP2D活性)およびミダゾラム水酸化(CYP3A活性)を測定し、ミカエリス・メンテン動態を解析した。得られた最大速度に基づくと、CYP1A活性は有意な影響を受けなかったが、CYP2C、2Dおよび3A活性は有意に増加した。したがって、トリアムシノロンは臨床用量でCYP2C,2Dおとび3Aを誘導するものと考えられた。ラットにプレドニゾロン、トリアムシノロンおよびヒドロコルチゾンを1週間処置した結果、トリアムシノロンがCYP2C活性を増加させた以外は、いずれのCY活性も有意に低下した。このため、阻害実験を行った。その結果、いずれの消炎ステロイドも可逆的あるいは非可逆的にCYP活性を阻害したが、各反応に対して得られた阻害定数は比較的大きく、75μM〜5600μMであった。したがって、得られたCYP活性の低下は酵素がダウンレグレーションされたためと考えられた。このため、消炎ステロイドのCYP活性への影響には種差があることが示された。 2.血漿中α_1酸性糖タンパク(AGP)濃度への影響の評価 トリアムシノロンで処置中のイヌにおける血漿中AGP濃度は、経日的に低下し、投与後5日以降で有意な低下を示した。一方、ラットではいずれの消炎ステロイドでも増加の傾向を示した。
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