研究課題/領域番号 |
19380177
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研究機関 | 鳥取大学 |
研究代表者 |
竹内 崇 鳥取大学, 農学部, 教授 (20216849)
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研究分担者 |
日笠 喜朗 鳥取大学, 農学部, 教授 (30165071)
岡本 芳晴 鳥取大学, 農学部, 教授 (50194410)
杉山 晶彦 鳥取大学, 農学部, 助教 (00432609)
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キーワード | ラクトフェリン / 疼痛管理 / ストレス |
研究概要 |
初年度は、ラクトフェリンの腸管吸収および脳への移行動態、さらには鎮痛作用発現機序のうち、特に神経線維の種類別閾値変動に対するラクトフェリンの効果について解析し、以下の結果が得られた。 1.ビーグル犬におけるbovine lactoferrin(bLF)の腸管吸収動態の解析 健常ビーグル犬5頭を用い、胃カテーテルによる胃内投与(1g/kg)時の血漿中bLF濃度を投与後4時間後まで経時的に解析した。その結果、ビーグル犬の血漿中bLF濃度は投与後2時間で約100ng/mlまで上昇し、その後は緩やかに減少した。また、血漿サンプルの希釈倍率が20倍以下の場合には測定値が低くシフト傾向があり、抗原抗体反応を阻害する因子が血漿中に存在することが示唆された。 2.成熟ラットにおけるbLFの脳内移行動態の解析 成熟ラットの静脈内に投与したbLFは血液-脳脊髄液関門を通過することを免疫組織化学的に解析した。bLFは、投与後10分で大脳白質の毛細血管内皮細胞の小胞膜上に検出され、抗-bLF抗体陽性反応を示す多数の小胞が脈絡叢上皮細胞にも認められた。さらに、脳脊髄液中のbLF濃度は、bLF(10or30mg/kg)の静脈内投与後1〜2時間で有意に上昇した。 3.成熟ラットにおけるbLFの鎮痛効果発現機序の解析 アイソレーテッド刺激装置を用い、ラットの大腿神経中のAβ、AδおよびC線維を特異的に電気刺激し、疼痛反応の発現閾値を解析した。その結果、bLF(100mg/kg)を腹腔内投与すると、Aδ線維の閾値は450μAから760μAへ上昇傾向を示し、C線維は880μAから1,940μAへと有意に上昇した。一方、Aβ線維に対しては全く影響しなかった。以上のことから、bLFは痛みを伝達する神経線維に対してのみ特異的に作用することが示唆された。
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