研究概要 |
本研究は、軟骨基質に由来するCOMPと基質分解の主役であるMMPsに着目し、動物の自然発生性関節症(OA)例あるいは疾患モデル動物を用いて、軟骨破壊の進行に伴う関節液・血清・尿中のCOMP濃度・断片化パターンと酵素活性の変化を解析し、その関係を総合的に評価する。平成19年度は、動物のCOMPに対するモノクローナル抗体(14G4,11F10,2A11,3C8、いずれも断片化COMPを認識できる)の特性(抗原認識部位と講師感受性)を確認し、これら抗体を用いて関節液→血液→尿へと移行するCOMP断片の検出系を修正すること、そしてMMP-2,3,9の定量系および活性測定系を作成することが目標である。 [実験]抗体(14G4,11F10,2A11,3C8)のエピトープマッピングと、それらの組合せによるsandwich ELISAによるCOMP測定系を準備した。mAb2A11を固層化抗体として用い、mAb11F10をビオチン化抗体として用いる直接sandwich法(SEを)選択した。OA馬と健常馬より滑液および血清を採取し、各COMP値を測定し、従来法(inhibiion法、IE)と比較した。 [結果]IE法の結果と同様に、SE法を用いたOA関節の滑液中のCOMP濃度は、正常関節よりも有意に高い値を示した。SE法ではOA馬の血清COMP値も健常馬群と比較して有意に高い値を示した一方で、IE法では血清COMP濃度に両群間で有意差はなかった。SE法による滑液および血清中のCOMP濃度は、mAb11F10を用いたときのIE法の結果と高い相関を示した。 [考察]新しく確立したsandwich ELISA法は滑液および血清中のCOMP濃度の測定法として高い信頼性を持ち、特に血清のような非特異的な影響の大きい検体に対しても、競合的ELISA法であるinhibition ELISA法に比べより高い特異性を示すことが明らかとなった。
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