研究課題/領域番号 |
19380180
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
木村 俊範 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (60111241)
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研究分担者 |
上野 孝 北海道大学, 函館工業専門学校・物質工学科, 教授 (10310963)
清水 直人 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (70323251)
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キーワード | 現代炭素 / 海生バイオマス / 加速器質量分析 / バイオマス製品 |
研究概要 |
初年度結果1)木質を除く糖質を原料とする製品のバイオマス度を非常に高精度で算出できた。2)海性バイオマス、特に貝殻、海草については、当初予測を超えたデータばらつきが検出され、深度のみならず潮流の影響を無視できないことが判明した。これらを受け、20年度には海底に生息するカニなどについての測定と木質材料、特に年輪による生育時期が特定できる試料を入手して測定した。 木質、セルロースに由来する製品の測定結果においても現代炭素濃度pMCのバラつきは大きく、特にpMCが大きい方に結果がでた。これは、pMCの特異点とされる1950年代の影響を受けたものと推測されたが、今回の測定からその推測が正しく、木質系の試料については、よりきめ細かいデータ収集が必要と考えられた。 19年度では比較的深度の浅い所で採取された試料(海草、貝殻)を測定したが、20年度ではこれらよりも深い深度300m付近のズワイガニを採取して計測した。また、同時に測定された水温、塩濃度のデータから潮流の動向について勘案して検討した。それらの結果、通常は200m以下の深度での海水の混合は少なく、半隔離状態のpMC値がでるとされるが、その判断が実測からもほぼ正しいものとみられた。一方、200m未満の浅い海水はほぼ常時撹拌混合があり、表面海水に等しいとされるが、場所によって深層水が上昇する場合などに起因して低いpMCが計測されることが分かつた。 以上の結果、木質、海生バイオマス以外の固体バイオマス素材、製品のバイオマス度計測に研究者らの開発したプロトコールに基づくAMS分析が十分に使用可能であるが、上記の例外的素材、また液体燃料については、さらなるデータ蓄積を必要とすることが判明した。
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