研究課題/領域番号 |
19380182
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研究機関 | 静岡大学 |
研究代表者 |
原 正和 静岡大学, 農学部, 教授 (10293614)
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研究分担者 |
河岸 洋和 静岡大学, 創造科学技術大学院, 教授 (70183283)
矢永 誠人 静岡大学, 理学部, 准教授 (10246449)
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キーワード | 金属結合 / ヒスチジン / デハイドリン / His型金属結合ペプチド / 植物 / シロイヌナズナ |
研究概要 |
申請書に従い、3項目に分けて研究を実施し、以下の成果を得た。○His型金属結合ペプチドカタログの作成(原):初年度から開始したスクリーニングを本年度で完了した。シロイヌナズナデータベースを駆使し、3種類の植物His型金属結合ペプチド候補遺伝子の存在を確認した(AtHIRP1、2、3)。また、デハイドリンホモログデータベース検索の結果、別途AtHIRD1を取得した。さらに、ニッケルおよび銅キレートカラムに結合するシロイヌナズナタンパク質をマスコットサーチによって固定し、AtHIRP4とした。以上、現時点でHis型金属結合ペプチドを5種類得ることに成功した。○His型金属結合ペプチドの化学的調査(原、河岸、矢永):まず、最もHis含有率が高いAtHIRP1のリコンビナントタンパク質を得た。本タンパク質は、銅、ニッケル、亜鉛、コバルト、カドミウムと結合したが、特に亜鉛との結合が強かった。また、本遺伝子の発現は、乾燥及びアブシジン酸によって上昇したが、金属には応答しなかった。GFP試験により、プラスチドに局在することが示唆された。AtHIRP1は、金属をブラスチドへ移動する輸送タンパク質であると考えられる。○ウンシュウミカンHis型金属結合デハイドリンタンパク質の機能調査(原):デハイドリンは、植物が乾燥及び低温に曝された際に蓄積される普遍的な天然変性タンパク質であるが、その機能は未解明のままである。われわれは、本タンパク質の金属結合性を見出してきたが、今回、世界に先駆けてDNAおよびRNAと、亜鉛イオン依存的に結合することを明らかにした。His型金属結合ペプチドの新たな機能として、生理的な役割を今後詳細に検討する。
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