研究課題/領域番号 |
19380183
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
東 順一 京都大学, 農学研究科, 教授 (80115782)
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研究分担者 |
河内 孝之 京都大学, 生命科学研究科, 教授 (40202056)
山内 龍男 京都大学, 農学研究科, 准教授 (40093330)
坂本 正弘 京都大学, 農学研究科, 講師 (40303870)
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キーワード | セルロース / ゲル / バイオマス / 資源化 / ゲル状バイオマス |
研究概要 |
ゲル状バイオマスの含有量が異なる植物の種子を低電圧走査型電子顕微鏡により解析した結果、いずれも種子の最外層の一層の細胞の内容物が起源であることを見出した。また、いずれのゲルも中性多糖と酸性多糖の複合体からなり、中性多糖は植物の種類により変化が大きいが、酸性多糖はいずれの植物についても4-O-メチルグルクロン酸をキシロース1〜3残基当たり一分子、二位に置換した樹木起源とは異なり(1:8〜10、モル比)分岐の極めて多いメチルグルクロノキシランであることを明らかにした。また、ゲル状バイオマスの粘弾性測定により、水中では弱いゲル状構造をとり、pHが5〜10.5の範囲で高く、酸性や強アルカリ条件下で流動性が高くなることからウロン酸のカルボキシル基による静電反発がゲル状の元となっていることが示唆された。このことは、イオン半径の異なる中性のアルカリ金属塩を添加して粘度を測定した結果、アルカリ金属塩のイオン半径が大きくなるに伴って粘度が低下することからも支持された。さらに、尿素、グアニジン塩酸塩やナトリウムイソチオシアネート等の添加やカルシウムの溶脱により粘度低下がみられ、カルシウムの再添加により粘度が高くなることから、静電反発の他に、水素結合、疎水結合、カルシウムを介したエッグボックス状の架橋形成もまたゲル状を呈する原因となっていることもわかった。単離した成分と元のゲルの粘度測定の結果、酸性のメチルグルクロノキシランが粘度に主として寄与していることがわかった。示差走査熱量測定の結果、ゲル状を呈するとともに水分子が多糖分子と相互作用し束縛されていることもあわせて明らかにした。
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