研究課題/領域番号 |
19380186
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
泉井 桂 近畿大学, 生物理工学部, 教授 (20025414)
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研究分担者 |
秋田 求 近畿大学, 生物理工学部, 准教授 (80258061)
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キーワード | ホルムアルデヒド / シックハウスガス / 遺伝子導入観葉植物 / ファイトレメディエーション / リブロースモノリン酸経路 / 最適化合成DNA / マイクロアレイ解析 / メタノール資化性細菌 |
研究概要 |
本研究は、主要なシックハウスガスであるホルムアルデヒド(HCHO)を吸収・除去する観葉植物を遺伝子組換え技術によって作出し、室内空気の浄化に役立てることを当面の目的とする。植物に導入する酵素は、メタノール資化性細菌の2つの酵素、3-ヘキスロース6-リン酸合成酵素(HSP)と3-ヘキスロース6-リン酸イソメラーゼ(PHI)でありこれらを葉緑体において発現させ、HCHOをデンプンとして同化しようとするものである。今年度は以下の研究をおこなった。今年度は、観葉植物の形質転換用のベクターの構築をおこなった。昨年度までに、遺伝子暗号のコドンを双子葉植物と単子葉植物に最適化し、さらにHPSとPHI遺伝子を融合させた合成遺伝子を入手したが、これに、それぞれに適したプロモーターおよび葉緑体への局在化のためのトランシットペプチドをつないだものたものを構築した(島根大学の中川強教授のご協力による)。アグロバクテリウム法を用い、シロイヌナズナ、タバコ、イネ、ベゴニア、シクラメン(外部依頼)、ポトス、プテリスについて形質転換を試みた。ベゴニアの場合、GUS遺伝子をレポーターとする一過的発現解析で遺伝子導入が確かめられたため、本法により形質転換体を得られる可能性が高いと考えられた。上記のベクターを用いて形質転換を試み、現在までカルス形成は認められているが、カルスの成長は野生株の場合より明らかに遅く、再分化させうる状況に至っていない。シクラメンについては、選抜マーカー耐性を示す個体が得られたため、ウエスタン解析によって導入した遺伝子発現の確認を行っている。ポトスおよびプテリスは、操作時の植物体の状況から、アグロバクテリウム法による形質転換は難しいか、頻度は相当に低いと予想された。種々の改良を加えて今後も実験を継続し、観葉植物の形質転換体の作出を達成したい。一方、HCHOは植物に対しても有毒であるが、毒性の発現機構は不明である。アラビドプシスの野生型とすでに得ている形質転換体を、一定の濃度のHCHOに2.5時間曝露したときに発現される遺伝子をマイクロアレイ法で解析し、HCHOに対する植物の応答を始めて明らかにするとともに、その毒性が主として酸化ストレスを通じて発現されることを示唆するデータを得た。
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