研究課題/領域番号 |
19380194
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研究機関 | 大阪教育大学 |
研究代表者 |
向井 康比己 大阪教育大学, 教育学部, 教授 (30110795)
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研究分担者 |
福井 希一 大阪大学, 工学研究科, 教授 (00311770)
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キーワード | 巨大DNA / 形質転換 / 穀粒品質遺伝子 / 共導入 / バイオアクティブビーズ / 人工染色体 / FISH法 / 可視化 |
研究概要 |
本年度、バイオビーズ法でコムギの穀粒品質(穀粒硬度)に関わる遺伝子(puroindoline bおよびGSP-1)をもつ巨大DNA断片を導入したイネの形質転換体の次世代植物の形質を調査したところ、コムギDNA導入によるマイナス効果は見られず、しかも両遺伝子は安定して伝わっていた。また、ホモ個体はFISHにより選抜することができた。次に、上記の穀粒硬度に関わる遺伝子群の他に、製パン性に関係するHMWグルテニン、LMWグルテニン、グリアジン遺伝子をバイオアクティブビーズ法で複数同時に導入(共導入)する実験(マルチゲノム導入)を行った。1組み合わせにおいてpuroindoline a遺伝子とLMWグルテニン遺伝子が導入されている系統が得られたが、他の8組み合わせにおいては再分化までいたる形質転換体を得ることはできなかった。しかし、共導入に成功した次世代の植物に対してFISH法で両遺伝子を可視化したところ、LMWグルテニン遺伝子のみが検出され、puroindoline aは検出できなかった。これらのことは共導入した巨大DNAの不安定さを示すもので、今後の改良が望まれる。さらに、目的形質に関する遺伝子の蓄積を計るために、バイオアクティブビーズ法で得られたpuroindoline bとGSP-1の両方が導入されている系統と、我々が以前アグロバクテリウム法で育成したpuroindoline aとGSP-1が導入されているイネを交配により、穀粒硬度に関わる遺伝子3つすべてをもつ個体を得ることができた。そして、マイクロビーズ(バイオビーズ)を用いた巨大DNA断片の新規形質転換システムをより効率的に改良するために、今までの10分の1のスケールで形質転換実験を行う系を開発した。スケールを小さくして導入実験を行っても細胞の生存率や形質転換効率にほとんど影響がないことを示す結果が得られたので、植物細胞に対してさらに効率的な巨大DNAの導入が可能になろう。
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