研究課題
1.タンパク質を部位特異的に蛍光標識する技術の開発:従来動物細胞としては哺乳類培養細胞のみが非天然型アミノ酸の導入に利用可能であったが、昆虫細胞(ショウジョウバエS2細胞)においても非天然型アミノ酸のタンパク質への部位特異的導入を可能にした。S2細胞は特に、分泌によるタンパク質生産に適した系であり、哺乳類細胞にない利点を有する。IL8にアジドフェニルアラニンを導入し、部位特異的蛍光標識に成功した。また、ヒト培養細胞においてリジン誘導体であるAzZLysを導入して、タンパク質の部位特異的蛍光標識を行った。大腸菌のタンパク質合成系の改変によって、アジドチロシンの導入にも成功し、蛍光標識にも成功した。2.翻訳後修飾の導入法の開発:20年度に作成した,アセチルリジンに特異的なPy1RS変異体(mAcLysRS)を用いて,部位特異的にアセチルリジンを含むタンパク質の大量調製法を確立した。制御に重要な部位にアセチル化されたリジンを導入したヒストン・タンパク質を、大腸菌無細胞翻訳系を用いて大量に生産することが可能になった。3.光クロスリンク法の改良:19年度に開発した大腸菌TyrRS変異体を用いて、Tmd-Pheをタンパク質に導入し、タンパク質どうしを光架橋する実験を行った。Tmd-Pheと従来から光クロスリンカーとして用いられているパラ・ベンゾイルフェニルアラニン(pBpa)を性能比較した.反応基が小さいという点と反応の速さではTmd-Pheに利点があり、長時間光に露出するような実験にはpBpaが適していることが明らかになった。Tmd-Pheの利点を生かして、がん遺伝子産物GRB2と相互作用するタンパク質の同定に成功し、他方、pBpaはタンパク質の複合体の安定化・構造解析に役立つことを示すことができた。
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Nucleic Acids Research (in press)
Protein Science (in press)
Structure 17
ページ: 335-344
http://protein.gsc.riken.go.jp/sakamoto/