研究概要 |
イミダゾリウム塩を共通の中間体として「含窒素ヘテロ環カルベン(NHC)」と「イオン液体(IL)」という興味ある二つの化学種が発生する.本研究課題では,これまで申請者らが行ってきたこれら二つの化学種に関する研究を更に展開するとともに,それらのインターフェースに相当する部分の研究を展開することを目的としている.本年度の研究においては,NHCに関する研究において新しい光学活性単座型NHC配位子の創出に成功し,この光学活性配位子を用いたNi触媒による1,3-ジエン,アルデヒド,及びシランの不斉三成分カップリング反応の開発に成功した.一方,ILに関する研究としてはカチオン性ロジウム触媒を用いたヒドロアシル化反応,及び環化異性化反応の二つの反応において,触媒リサイクル型反応への展開に成功した.今後は更にこれらの研究を統合的に発展させ,そのインターフェース部分の研究に展開していきたいと考えている.すなわち,NHCの配位子としての機能に着目し,その機能を保持した機能特異的IL(Task-specific IL,TSIL)の創製を行い,NHCが持つ特異な反応性を環境調和型分子変換型プロセスへと発展させ,触媒リサイクル型反応へと展開することを目指していく予定である.
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