研究概要 |
不斉銅触媒を用いたケトイミンに対する触媒的不斉Mannich反応,トリフルオロメチルケトンに対するアルキニル化反応,アルキル亜鉛のアレニックエステルに対する共役付加反応を契機とするケトンに対するアルドール反応(多成分反応)を開発した。いずれも不斉四置換炭素の触媒的合成反応であると同時に,世界初の達成である。ケトイミンに対する触媒的不斉Mannich反応ではケテンシリルエーテルから金属交換による求核剤活性化法を,トリフルオロメチルケトンに対するアルキニル化反応では銅アルコキシドのソフト性を生かしたアルキンの官能基選択的脱プロトン化による求核活性種生成を,さらに3番目の反応においては有機金属の共役付加反応を用いた銅エノラート生成をそれぞれ鍵とする。以上の研究を通じて,求核剤活性化の方法論がケトンの低反応性を克服する有効な手段であることを示すことができた。 また,Diels-Alder反応を基盤とする抗インフルエンザ薬タミフルの短工程合成ルートを開発し,タミフルの体内動能を調べるためのPFTトレーサーの合成法を開発した。
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