研究概要 |
1.3価インジウム触媒を用いな触媒的多成分連結型異種ダブル閉環反応の開発(竹本): 触媒量のIn(OTf)_3を用いたアルキニルアリールイミンの付加環化反応を精査し、シリルエノールエーテル以外にも種々の活性メチレン化合物、アルキン、ヒドリドの導入を伴った1,2-ジヒドロイソキノリン誘導体の一挙構築が可能であることを明らかにした。また、求核剤の種類により、In(OTf)_3以外にもNiCl_2,AuClが有効であることやイミン体を事前に調製することなくアルデヒドとアミンの共存下でも同様のワンポット反応が進行することを突き止めた。さらに、分子内プロトン移動によりアゾメチンイリドを発生させ、続いてdipolarophileとの[2+3]環化付加反応への展開を試みたところ、電子不足なアルキンをdipolarophileとじて反応させた時に目的物が低収率ながら生成することを確認した。 2.0価パラジウム触媒を用いた触媒的分子内、分子間アミド化反応の開発(安井): 申請者らが開発したPd(0)触媒シアノアミド化反応はオレフィンの置換基様式に敏感で三置換オレフィンでは進行しないが、カルバミン酸クロリドを基質としてPd(PPh_3)_4/Ag_3PO_4/K_3PO_4からなる触媒系を用いて反応を行うと、Mizoroki-Heck型の閉環反応が触媒的に進行することを明らかにした。そこで本反応を鍵反応に利用してAspidosperma型インドールアルカロイド、epieburnamonineの全合成を試みた。その際、金属配位子として(S)-BINOLから調製したキラルなホスホロアミダイトを添加すると最高64%eeまで不斉が誘起されること、さらに基質のオレフィンの立体化学が反応性(収率)とエナンチオ選択性に大きく依存することを明らかにした。また、この反応をヒントにカルバミン酸クロリドをアルケンと9-BBNから調製したアルキルボラン共存下で行ったところ、分子間カップリング反応が進行し、アミド誘導体が高収率で得られることを見出した。
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