研究概要 |
1.金触媒を用いた触媒的ヒドロアミノ化反応の開発(竹本): テトラヒドロイソキノリンあるいはイソキノリン骨格は、興味深い生物活性を有する天然物や医薬品の基本構造として大変重要な創薬テンプレートと考えられている。そこで、両誘導体へ容易に変換可能なジヒドロイソキノリン骨格の新規触媒的合成法の開発を検討した。まず2-アルキニルベンジルアミン誘導体に対し種々の金属触媒を作用させたところ、AuCl(PPh_3)/AgNTf_2が6-endo選択的な分子内ヒドロアミノ化反応に有効であり、(1)室温下で目的の1,2-ジヒドロイソキノリン誘導体のみを収率よく与えること、(2)5当量のアルコールの添加により反応が10倍以上加速されることを明らかにした。また、種々の反応基質を精査することで6-endo/5-exo選択性がアルキン末端の置換基に依存することを見つけ、6-endo選択性が低い場合には触媒としてより嵩高いリン配位子を持つAucl[(o-biPh)(^tBu)_2P/AgNTf_2を使用すればヒドロアミノ化反応の6-endo選択性を向上させることができるなどの非常に興味深い知見を見出すことができた。 2.パラジウム触媒を用いた不斉シアノアミド化反応の開発と全合成への応用(安井): すでに申請者らが開発したPd(0)触媒シアノアミド化反応を不斉反応へと展開するために、種々の金属配位子をはじめとして反応条件を再検討した。その結果、二座配位子よりも単座配位子を用いた方が反応がスムーズに進行すること、中でも光学活性BINOLと第二級キラルアミンを組み合わせたホスホロアミダイト配位子が効果的であることを見出した。そして、本キラル配位子/Pd(dba)_2錯体を用いて、キシレン中1当量のDMPUを添加することにより、最高86%eeで光学活性なオキシインドール体を簡便に不斉合成する新手法を開発した。また本手法を利用したvincorineの不斉全合成にも挑戦し、dialkyl-hexahydropyrrolo[2,3-b]indole中間体の合成にも成功した。
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