研究概要 |
1.金触媒を用いた触媒的連続反応の開発:昨年度の研究成果として得られた2-アルキニルベンジルアミン誘導体の6-endo選択的な分子内ヒドロアミノ化反応に有効であったAuCl(PPh_3)/AgNTf_2触媒のソフトとハードなルイス酸特性を利用して、分子内の種々の官能基と順序良くかつ連続的な反応を行うことにより、多環式複素環化合物のワンポット合成を検討した。その結果、アルキン末端側にアセタールやエノンを有するベンジルアミン誘導体を用いれば、二環構築が一挙におこり、ニチジンをはじめとする4~5環式複素環を収率良く合成することに成功した。 2.パラジウム触媒を用いた不斉シアノアミド化反応の開発と全合成への応用:申請者らが開発したPd(0)触媒シアノアミド化反応を用いて、連続する4級炭素を有する天然物vincorineの全合成研究を行った。その結果、鍵反応で得られた側鎖にNBocを有するオキシインドールに対して有機リチウム試薬を反応させることにより、所望の二連続四置換炭素を有するヘキサヒドロピロロインドール体を収率良く合成することに成功した。また、アニリンの2位にジエンを有するカルバミン酸クロリドをPd(0)触媒下に種々の求核剤(ヒドリド源、スルホン酸アミド、フェノール、有機ボロン酸)と作用させると、求核剤の違いにより1,2-あるいは1,4-付加体が位置選択的に得られることを見出した。さらに、この反応を分子内反応に展開することで、elacomineやspirotriprostatineに含まれるspiro[indoline-3,3'-pyrrolidine]骨格のワンポット合成にも成功した。
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