研究概要 |
ペプチドおよび核酸をツールとした新たなナノ・ヘリックス機能性分子の創製とその構造特性の精査ならびに機能探索・機能開発を目的とし、1.新規光学活性α,α-ジ置換環状αアミノ酸合成と、そのホモおよびヘテロペプチドの創製2.ナノヘリックスによる不斉反応の開発展開3.インターナルダイナミックスをモニターするプローブの開発の3項目について重点的に研究を実施した。以下、各項目の実績を記す。 1.ケトン基を有する環状ジ置換アミノ酸の合成に成功した。次いで光学活性ジオールによりスピロアセタールに変換し、オリゴペプチドへと導いた。ヘキサペプチドの合成まで成功したが、この段階では、十分なヘリックス制御には至らなかった。 2.19年度に合成に成功した環状ジ置換アミノ酸(1S,3S)-Ac5c^<OM>と(1S,3R)-Ac5c^<OM>を含有する独自のαヘリックス性短鎖ヘテロペプチドに構造的改良を加えた。その結果、カルコンの不斉エポキシ化反応において95%ee以上のエナンチオ選択性でエポキシ体が得られることを明らかにした。今後、不斉認識メカニズムの解明が進めば、新たな研究領域創製を期待させる成果と言える。 3.インターナルダイナミックスをモニターするプローブの開発において、ODNの長さ、配列がESRスペクトルに与える影響を精査した。その結果、スピンラベル化核酸による1塩基識別が可能であることを示唆する結果が一部得られた。本知見はスピンラベル化核酸の新たな機能を期待させるものであり、今後の研究成果が期待される。
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