研究課題
核内レセプターの1つである、ビタミンDレセプター(VDR)がTGFβ経路の細胞内メッセンジャーであるSmadと結合し、TGFβシグナルを1a,25依存的に抑制させた。その結果、Smadの標的遺伝子であるPAI-1のmRNA量を減少させることを明らかにした。さらに、1a,25はVDR依存的に、大腸癌細胞の転移・浸潤能を抑制することを明らかにした。また、エストロゲンレセプター(ER)のリガンドがERβを介して転写因子KLF5の転写を制御することを見出した。ERリガンドのうちの1つである、ICI 182,780(ICI)によりKLF5による転写は活性化され、エストロゲン(E2)により抑制された。次に、KLF5の標的遺伝子の探索をおこなった結果、アポトーシス誘導転写因子であるFOXO1を同定した。ICIによりFOXO1のmRNA量は増加し、E2により減少することが明らかとなった。このFOXO1のmRNA量の増加は、ERβを介したCBPのリクルートによるものであり、減少は、ERβを介した分解によるものであることを明らかにした。この分解にはWWP1が関与することを明らかにした。ERβ、KLF5とWWP1は3者複合体を形成し、この複合体の割合がE2依存的に増加することで、KLF5のユビキチン化量が増加し、E2依存的に分解が誘導されることを明らかにした。次に、担癌マウスモデルを用いた実験により、KLF5は前立腺癌の腫瘍形成に対して抑制的に働くことを明らかにした。さらに、E2は前立腺癌の腫瘍形成を促進し、ICIは抑制することが明らかになった。このERリガンドによる制御は、ERβとKLF5を介していることをRNAiの実験により明らかにした。また、E2添加時の腫瘍においてKLF5のタンパク質量が減少していたことから、このE2による前立腺癌の腫瘍形成亢進はERβを介した、KLF5の分解によるものであることが明らかになった。
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