研究課題
1.申請者らは、ポリアミンが細胞増殖に必要な特定蛋白質合成を翻訳レベルで促進し、細胞増殖促進作用を示すことを明らかにし、これら蛋白質をコードしている遺伝子群をポリアミンモジュロンと命名した。大腸菌ではこれまで9種(OppA、Cya、σ38、Fecl、Fis、RF2、RpoN、Cra、H-NS)のポリアミンモジュロンを同定した。このポリアミンによる蛋白質合成促進を分子レベルで解析したところ、2本鎖RNA中のふくらみを有する領域(bulged-out region of double-stranded RNA)の構造をホリアミンが特異的に安定化するためであることが明らかとなった。2.申請者らはこれまで酵母で5種のポリアミン排出蛋白質(TPO1〜5)を同定したが、大腸菌では未同定であった。大腸菌でこれまで33種の薬物排出蛋白質が同定されているが、この中でポリアミンのうちのスペルミジンを排出できる蛋白質が存在するかどうか検討したところ、mdtJI蛋白質がスペルミジンを排出することが明らかとなった。また、mdtJl mRNAはスペルミジンにより発現量が上昇することが明らかとなった。3.脳機能に重要な役割を果たすグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体は、スペルミンにより脱分極時の活性促進、静止時のチャネルブロック作用と二面的に調節されている。今回は、チャネル形成領域のどの部分が活性促進及びチャネルブロック作用に関わっているかを、site-directed mutagenesisにより100種以上の変異体を作製し、検討した。その結果、スペルミンによる活性促進にはNRI受容体のM2ループ及びM3領域並びにNR2受容体のM3領域が関与していた。また、チャネルブロック作用には、NR2受容体のM2ループ及びM1、M3領域が主として関与していた。すなわち、NR1とNR2受容体はチャネル中で非対称構造をとっていることが明らかとなった。
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http://www.p.chiba-u.ac.jp/lab/rinka/