研究課題
1.申請者らは、ポリアミンが細胞増殖に必要な特定蛋白質合成を翻訳レベルで促進し、細胞増殖促進作用を示すことを見出した。本年度は酵母で合成促進をうけるCOX4(呼吸鎖複合体IVのサブユニット4)、及びマウスFM3A細胞で促進をうけるCCT2(シャペロニン、T-complex蛋白質1、β-サブユニット)の合成促進メカニズムを解析した。真核細胞の蛋白質合成開始は、mRNAの5'-末端のcap構造から開始コドンAUGまでリボソームがscanningすることにより起こる。このscanning中に二本鎖構造を形成する立体障害が存在するとき、ポリアミンはリボソームがその障害を飛び越えるshuntingを促進することにより、COX4及びCCT2合成を促進することを見出した。2.大腸菌のスペルミジン輸送系はPotABCDの4種の蛋白質より成る。本年度はチャネル形成蛋白質であるPotB、PotC蛋白質中の11種のアミノ酸残基の機能を解析した。その結果、PotB Trp^8が膜への挿入に必須であること、PotB Tyr^<43>、PotC Trp^<46>、Ser^<196>がPotDとの相互作用に、PotB Leu^<110>、Tyr^<261>、PotC Asp^<108>、Asp^<198>、Asp^<199>がスペルミジンの認識に、PotB Trp^<100>、Tyr^<261>、PotC Asp^<108>、Glu^<169>、Asp^<198>がPotAのATPase活性に関与していることが明らかとなった。3.脳機能に重要な役割を果たすグルタミン酸受容体の一種であるNMDA受容体は、スペルミンにより活性化を受け、イフェンプロジルにより阻害を受ける。スペルミンはNR1受容体のN末端に位置するR-domainの中心部の溝に結合し、またイフェンプロジルはNR2B受容体のR-domainの中心部の溝に結合してその構造を変えることにより、作用を発揮することを明らかにした。
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