研究課題/領域番号 |
19390017
|
研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
紺谷 圏二 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 准教授 (30302615)
|
研究分担者 |
堅田 利明 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (10088859)
福山 征光 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (20422389)
小林 哲夫 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助教 (80433994)
|
キーワード | 薬物トランスポーター / 細胞極性 / 線虫 / メンブラントラフィック / RNAi / スクリーニング |
研究概要 |
昨年度に行った突然変異誘発剤(EMS)およびFeeding RNAiライブラリーを用いた遺伝学的スクリーニングにより得られた、薬物トランスポーターPGP-1のアピカル膜への局在化に異常が観察される変異体の表現型解析およびポジショナルクローニングを行った。まずEMSによるスクリーニングで得られた変異体に関しては、最も顕著な表現型を示す変異体td52を解析した。td52ではPGP-1-GFPはアピカル膜だけでなく、細胞質中にも拡散する細胞内局在を示した。また他のアピカルマーカーであるVHA-6も同様に細胞内に拡散するパターンを示した。一方、td52変異体ではバソラテラルマーカーであるNFM-1に関しては顕著な細胞内局在の異常は観察されなかった。よって、td52変異体ではアピカル膜への局在化が特異的に異常になっている可能性が示唆された。SNPを用いてtd52のポジショナルクローニングを行ったところ、td52ではY41E3.11遺伝子に変異が生じていることが明らかとなった。Y41E3.11は、SPRYドメインを含む、hnRNPと推定されている蛋白質をコードしており、td52では92番目のロイシン残基がフェニルアラニン残基に置換されていた。92番目のロイシン残基はhnRNPで高く保存されているRNA結合モチーフの変異であり、Y41E3.11産物と標的となるRNAとの相互作用に変化が生じ、それがtd52の表現型を惹起する可能性が考えられた。一方、Feeding RNAiライブラリーを用いたスクリーニングから、ダイニン・ダイナクチン複合体を介した微小管依存的な輸送系がPGP-1のアピカル膜局在化に重要であること、及びt-SNAREであるSNAP29がRab8との相互作用を介してアピカル膜輸送に関与することを見いだした。
|