研究課題
これまでの研究で3種類の細胞外型ホスホリパーゼAl(PLAl)を同定した。これらPLAlはリゾリン脂質メディエーターの産生を介して作用すると想定されているが、生理機能はほとんど明らかになっていない。本研究では、ホスファチジン酸(PA)を特異的な基質とする膜結合型PA特異的PLA1α(PA-PLA1α)について遺伝子欠損(K0)マウスを作製し、その生理機能の解明を試みた。前年度までに、PA-PLAlalαK0マウスは、ヘテロ欠損マウスの交配によりメンデル比に従って誕生し、生後10日目頃から、K0マウスの体毛が縮毛となる形態異常が観察していた。また、毛包組織におけるmPA-PLAlαの発現をin situハイブリダイゼーション法で調べたところ、毛の表皮に分化する毛小皮とこれに接する内根鞘に限局して発現していた。生後10日目のK0マウスと野生型マウスの皮膚について、種々のマーカー遺伝子の発現量をリアルタイムPCRで定量したところ、内根鞘マーカーであるK6irsl/Krt71の発現がK0マウスで有意に低下していた。さらに、K0マウスでは上皮成長因子(EGF)のシグナルが大きく現弱していることを見いだした。これらの結果から、mPA-PLAlαは内根鞘においてEGFを介し、体毛形成に関与することが強く示唆された。
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