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2007 年度 実績報告書

NSAIDsによるストレス蛋白質導導と、NSAIDsの多彩な薬理作用における役割

研究課題

研究課題/領域番号 19390023
研究機関熊本大学

研究代表者

水島 徹  熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (00264060)

キーワード炎症性腸疾患 / 炎症性サイトカイン / 熱ショック蛋白質 / 活性酸素種 / HSF1
研究概要

炎症性腸疾患(IBD)は腸の粘膜に慢性の炎症や潰瘍を引き起こす原因不明の疾患である。最近の研究から、炎症性サイトカインや細胞接着因子(CAM)による炎症性細胞の活性化と浸潤、及びそこから放出される活性酸素種(ROS)による粘膜細胞傷害が重要な役割を果たしていることが分かってきた。一方、熱ショック蛋白質(HSP)は様々なストレスにより誘導され、細胞をストレスに対し耐性化する一群の蛋白質である。IBD患者の腸組織でHSPが誘導されていることなどから、HSPがIBDに関与していると考えられているが、その役割は不明であった。そこで我々は、HSF1(HSPの誘導に必須な転写因子)欠損マウス(HSF1-KO)及びHSP70過剰発現マウス(HSP70-Tg)を用いて、DSS腸炎(IBDのマウスモデル)を解析した。野生型マウスに比べ、HSF1-KOマウスでは腸炎が悪化し、逆にHSP70-Tgマウスでは抑制されていた。またDSS投与により、HSF1依存的にHSP70が腸組織で誘導された。次に我々は、野生型マウスに比べ、HSF1-KOマウスではDSS投与による細胞死が亢進し、HSP70-Tgマウスでは抑制されていること、及びin vitroにおいて、HSP70がROSによる細胞死を抑制することを見出した。また、HSF1-KOマウスではDSS投与による炎症性サイトカインやCAMの誘導が亢進し、HSP70-Tgマウスでは抑制されていること、及びin vitroにおいて、HSF1やHSP70が炎症性刺激による炎症性サイトカインCAMの誘導を抑制することを見出した。以上の結果は、HSF1及びHSP70が腸炎に対して保護的に働いている事を直接的に示す初めての遺伝学的証拠である。また、その分子機構として、ROSによる細胞死抑制、及び炎症性サイトカインやCAMの産生抑制の関与が示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2007

すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件)

  • [雑誌論文] Genetic evidence for a protective role of heat shock factor 1 against irritant-induced gastric lesions.2007

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, K.
    • 雑誌名

      Mol.Pharmacol. 71

      ページ: 985-993

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Genetic evidence for a protective role for heat shock factor 1 and heat shock protein 70 against colitis.2007

    • 著者名/発表者名
      Tanaka, K.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 282

      ページ: 23240-23252

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Involvement of prostaglandin E^2 in production of amylold-β peptides both in vitro and in vivo.2007

    • 著者名/発表者名
      Hoshino, T.
    • 雑誌名

      J.Biol.Chem. 282

      ページ: 32676-32688

    • 査読あり

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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