研究課題/領域番号 |
19390027
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 俊秀 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)
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研究分担者 |
阿部 充宏 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (90415068)
石塚 玲子 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (60342747)
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 協力研究員 (30311369)
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キーワード | エンドソーム / 脂質プローブ / リポソーム / ミトコンドリア / 脂質生合成 / バース病 / 脂質非対称性 / 脂質のポリモルフィズム |
研究概要 |
デュラマイシンはホスファチジルエタノールアミン(PE)を特異的に認識するシンナマイシン(Ro09-0198)に類似した19アミノ酸からなる環状ペプチドである。デュラマイシンの脂質特異性はわかっていない。本研究によりデュラマイシン、シンナマイシンともにエタノールアミンリン脂質(PEおよびエタノールアミンプラスマローゲン)を認識することが示された。モデル膜の研究からデュラマイシンおよびシンナマイシンのPEを含む膜への結合は膜の曲率に依存して起こることが示された。すなわち、どちらのペプチドもより小さな小胞に効率よく結合した。電子顕微鏡観察とX線小角散乱の実験により、これらのペプチドの多重層膜への結合は膜の管状構造を誘起することが示された。これらの結果はデュラマイシン、シンナマイシンは膜の曲率を変化させることによりPE膜に効率良く結合することを示している。 ビス(モノアシルグルセロ)リン酸(bis(monoacylglycero)phosphate,BMP)は後期エンドソームに濃縮され、オルガネラからの脂質やタンパク質の輸送に重要な役割を果たしていると考えられている。BMPの生合成についてはわからないことが多い。われわれはホスファチジルグリセロール合成の初発反応を触媒するホスファチジルグリセロリン酸合成酵素(phosphatidylglycerophosphate(PGP)synthase)を欠損したCHO細胞、およびカルジオリピンのリモデリングに関与する酵素、タファジンを欠損したバース病患者由来のリンパ芽球を用い、ホスファチジルグリセロールあるいはカルジオリピンがBMP合成の前駆体となっているかどうかを検討した。われわれの結果はカルジオリピンではなくホスファチジルグリセロールがBMP合成のde novoの前駆体であることを示唆している。
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