研究課題/領域番号 |
19390027
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研究機関 | 独立行政法人理化学研究所 |
研究代表者 |
小林 俊秀 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 主任研究員 (60162004)
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研究分担者 |
阿部 充宏 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (90415068)
石塚 玲子 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 研究員 (60342747)
村手 源英 独立行政法人理化学研究所, 小林脂質生物学研究室, 協力研究員 (30311369)
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キーワード | コレステロール / エンドサイトーシス / 糖脂質 / 脂質ドメイン / 脂質ラフト / SREBP / EGFレセプター / ビス(モノアシルグリセロ)リン酸 |
研究概要 |
細胞内のコレステロールホメオスタシスは厳密にコントロールされており、コレステロール代謝に関係した遺伝子の転写にはステロール調節因子結合タンパク質(sterol regulatory element-binding protein (SREBP))が重要な役割を果たしている。糖脂質を欠損した動物細胞変異株の解析から、われわれは成熟型のSREBPが糖脂質の欠損により増加することを見出した。SREBPの標的遺伝子の転写およびコレステロールの生合成も変異株で上昇が見られた。これらの結果は糖脂質が細胞内のコレステロールを制御している可能性を示唆している。細胞はコレステロールを主として低密度リポタンパク質(LDL)のかたちで細胞外から取り込む。取り込まれたコレステロールは後期エンドソーム・リソソームを経て細胞膜へと輸送される。後期エンドソーム特異的脂質であるビス(モノアシルグリセロ)リン酸(bis(monoacylglycero)phosphate(BMP))はコレステロールのエンドソームからの輸送に重要な役割を果たしている。われわれはBMPがドコサヘキサエン酸(DHA)に極めて富んでいること、また細胞外から加えたDHAはBMPに蓄積し、BMPの分解を引き起こすことを見出した。われわれの結果はDHAがBMPを介して細胞内コレステロールのホメオスタシスに影響を与えることを示唆している。また、われわれは異なったコレステロール結合プローブを用いることにより、コレステロールは細胞表面で一様に分布しているのではなく細胞膜上にはコレステロールの濃度勾配が存在すること、また、このような濃度勾配が存在することがEGFレセプター等の細胞膜レセプターの活性化に関与していることを明らかにした。
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