マルチテンプレート手法ならびにドラマタイプ手法の有用性の実験的な実証を一段と進展させることができた。化合物として、医薬リードとなりうる特徴的な生物応答調節剤も多数創製することができた。 1.マルチテンプレート手法[質の高い化合物ライブラリーの創製手法] (1)ジフェニルペンタン(DPP)については、多種の核内受容体リガンドはもちろん、同テンプレートの応用にてステロイド関連酵素阻害剤が効率的に創製できることを実証した。ケイ素誘導体にも演繹した。 (2)DPPを、ステロイド代替え骨格のみならず、幅広い生理活性化合物テンプレートして設定することにより、NFκB阻害剤、アポトーシス誘導剤、抗ウイルス剤(特許出願準備中)等が新たに創製できた。 (3)Tetramethyltetrahydronaphthalene(TMN)をscaffoldとする小規模化合物ライブラリーを新たに構築し、同ライブラリー中に成人T細胞白血病選択的な細胞増殖阻害剤を見いだし、構造展開を行い、構造活性相関に関する解答を得た(特許出願)。 2.ドラマタイプ手法[タンパク質のフォールディングを小分子により制御する手法] (1)点突然変異により耐性を獲得した核内受容体に対して有効なリガンドの創製手法を確立するとともに、タンパク質部分構造との動的な相互作用を念頭に、メタボリックシンドローム薬の標的としても注目される核内肝臓X受容体に対して、様々な特性を有する三環性のリガンドを創製した(特許出願)。 (2)タンパクの異常フォールディング(網膜色素変性症の原因となる点突然変異ロドプシン)を正常化する生物応答調節剤創製のための活性評価システムの構築に成功した。合成展開が進行中である。
|