研究概要 |
2009年度は、複数のコラーゲン結合タンパク質をターゲットとした阻害剤探索を実施し、ペプチド性阻害物質を取得することを目指した。また昨年度取得した、色素上皮由来因子(PEDF)および血小板glycoprotein VI (GPVI)に結合するコラーゲン様ペプチドをリードとした構造活性相関研究を行った。 1.コラーゲン結合タンパク質阻害剤のスクリーニング 複数のコラーゲン結合タンパク質(Heat-shock protein47, von Willebrand factor A3domain, Collagenase-S3b domain, PEDF, glycoprotein VI)をターゲットとしたスクリーニングを384-wellプレートフォーマットで実施した。被検物質としては、現有する合成コラーゲン様ペプチドを使用した。その結果Collagenase-S3b domainは電荷をもったアミノ酸をもつコラーゲン様ペプチドには結合しにくいという傾向がみられた。その他のタンパク質に対してのヒット化合物は、ほとんど既報の配列モチーフを含むもので、あたらしい結合配列をもつ化合物の取得には至っていない。 2. PEDFおよびGPVIに結合するコラーゲン様ペプチドの構造活性相関 ペプチドのAla-scanning、およびその他のアミノ酸置換を施した類縁体ペプチドをもちいたin vitro結合実験から、コラーゲン様ペプチド上のPEDF結合モチーフをほぼ明らかにすることができた。また、 GPVIが認識するコラーゲン上の配列は、 PEDFが認識する配列とオバーラップしており、血小板凝集における機能の関連が示唆された。また、同定したGPVI結合配列を含むコラーゲン様ペプチドは、コラーゲンによる血小板凝集(GPVIの活性)を阻害すると予想していたが、逆にペプチド単独で凝集を誘導する結果となった。
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