研究概要 |
従来の脳関門輸送研究はトランスポーターの輸送への関与を定性的に示すことにとどまっている。しかし、薬物の脳移行性の制限に関わる脳関門排出輸送に真に重要な役割を果たすトランスポーターは、輸送への寄与を定量的に解明することで初めて同定することができる。そこで本年度は、P-gpに焦点を当てin vitroから求められる分子あたりの活性とin vitroとin vivoのP-gpの絶対発現量から、in vivoのP-gpの活性指標であるKp,brain ratioの再構築を行った。LC-PK1及びmouse P-gp発測定し、corrected flux ratioを求めた。また、発現細胞とマウス脳毛細血管におけるMdrlaの絶対発現量はLC-MS/MSを用いて計測した。一方、in vivoのKp, brain ratioをMdr1a/1b(p-gp)knockoutとwild-typemiceを用いて、定速静脈内投与によって求めた。その結果、再構築したKp, brain ratioは、in vivoから求めた実測値と良好に一致した。本成果によって、分子あたりの活性と絶対発現量からin vivoのトランスポーターの寄与を再構築できることが初めて示された。
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